台湾のシリコンバレーを目指して。再会と別れ、そして静かな野宿の夜

TRIP

本編

渋滞と熱気。ハードモードから始まる朝の鼓動

旅の朝がいきなり「渋滞」という名の壁に阻まれる。これもまた、台湾のリアルです。

無数のバイクが放つ熱気と、絶え間なく流れるエンジンの重低音。新竹へと向かう道は、出発早々「ハードモード」の様相を呈していました。新竹といえば、世界的な半導体メーカーが拠点を構える、いわば台湾のシリコンバレー。近代的なビル群が並ぶハイテクな景色を想像していましたが、そこへ至る道は、泥臭いペダリングと、トラックが巻き上げる風圧との戦いでした。

時折、真横を大型トラックが走り抜ける。その瞬間に生じる強烈な風圧が、非力な私の背中をそっと押し、一瞬だけペダルが軽くなる。危うさと隣り合わせの、皮肉な「追い風」。そんな小さな事象にさえ、今の自分は生かされているのだと実感します。

野菜不足と33kmの孤独。旅人の身体が求めるもの

今回の目的地、新竹までは約33km。自転車なら2時間ほどの距離ですが、日々の疲労は確実に身体を蝕んでいきます。

最近はマルチビタミンで何とか凌いでいるものの、圧倒的に足りていないのは「生きた野菜」のエネルギー。ホテルの食パンだけでは、旅人の乾いた胃袋を完全に満たすには至りません。

坂道に差し掛かり、2速までギアを落とす。太ももの筋肉が悲鳴を上げ、視界がじわりと滲む。そんな時、頭をよぎるのは「今日はどこで寝るか」という切実な問題です。宿も決めず、風の向くままに進む。公園のベンチか、それとも海沿いの静かな場所か。この「不確定な未来」こそが、私が求めていた自由の本質なのかもしれませんが海外初野宿不安でいっぱいです

ロスト・マイ・フレンド。奇跡の再会と、すれ違う心

海沿いのサイクリングロードに入り、潮騒の音が聞こえ始めた頃、信じられない光景が目に飛び込んできました。

マイ・フレンド!

以前、淡水(ダンシュイ)で食事を奢ってくれたあの友人でした。徒歩で1日19kmもの距離を移動しているという彼の姿に、驚きを隠せませんでした。自転車の私と、徒歩の彼。旅のスピードは違えど、同じ空の下で再会できた喜び。友人も野宿?なのか集合場所を決め再スタート、海外初野宿が楽しみに変わりました。

しかし、旅の神様は時に意地悪です。合流しようと指定された場所へ向かい、さらに7kmもルートを引き返して彼を探しましたが、結局、広い世界の中で彼を見失ってしまいました。「ロスト・マイ・フレンド」。再会した時の高揚感が大きかった分、一人取り残された夕暮れの寂しさは、波の音と共に深く心に響きました。

屋根のある幸せ。砂浜で見つけた安息の地

結局、その夜は新竹の喧騒から離れた、後龍海灘で野宿を決意しました。

幸運にも、風を凌げる屋根のある東屋を見つけました。寝袋を広げ、硬い床の上に身体を預ける。波の音が子守唄代わりです。

ハイテクな街のすぐ近くで、原始的な野宿をする。この「コントラスト」こそが、クリエイティブな視点を刺激してくれます。洗練されたデザインのビルも、道端に咲く名もなき花も、そして独りで過ごす静寂の夜も、すべてが私の旅を構成する欠かせないピクセルなのです。

まとめ:予定のない旅が教えてくれること

予定を決めず、心の動くままにペダルを漕ぐ。そこには「ロスト・マイ・フレンド」のような切ない別れもあれば、思いがけない場所での安眠もあります。

効率を求める現代社会において、この「無駄」とも思える時間は、何よりも贅沢なクリエイティブ・タイムです。

台湾の道は、まだまだ続きます。次はどんな「一期一会」が待っているのか。少しの筋肉痛と、尽きない好奇心を抱えて、また明日もペダルを回します。

いつかまた会おうマイフレンド!


今回の旅の教訓

一期一会の連絡先は、その場で確実に

再会のチャンスは二度とないかもしれません。SNSや連絡先の交換は、出会った瞬間の熱量が冷めないうちに。

野菜の摂取ポイントを確保せよ

コンビニもちまきやホットドッグは優秀ですが、身体は常にフレッシュな栄養を求めています。現地の市場(いちば)を賢く活用しましょう。

野宿は「屋根」があるだけで天国

雨風を凌げる場所のありがたみは、実際に外で寝てみないと分かりません。旅のサバイバル能力も、また一つのスキルです。

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